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折込チラシに即効性、ネット併用で相乗効果~3回の広告効果測定調査まとめ~
リテールアド・コンソーシアムは、新聞折込チラシとネット広告による商品の売上増加の効果を測定する過去3回の調査結果で得られた知見を、次のようにまとめた。
- <ゆるがない折込チラシの役割>
- ・小売業にとって「即効性」の面から折込チラシは最も有効な販促手段
- ・地域の消費者は習慣的に、身近な小売ブランドの折込チラシに目を通しており、折込チラシには直接的な売上だけではなく既存客のロイヤリティ向上に役立つ
- ・折込チラシは、セール訴求やキャンペーン訴求だけでなく、高付加価値商品、高額商品であっても、消費者ベネフィットが明確に伝わる訴求内容であれば購入行動を促すことができる(紙メディアの優位性)
- ・折込チラシとネット広告の到達効率(同金額での広告接触者数)はほぼ同水準
<折込チラシの効果を後押しするネット広告>- ・ネット広告(GDNなどのディスプレイ広告)は来店行動を促すが、直接的な販売促進効果は限定的
- ・折込チラシとネット広告の併用が最も売上を拡大する。折込チラシで獲得できる限界売上を、ネット広告の同時配信により突破が可能
- ・折込チラシは投下直後に売上効果がピークに達し、 2週間程度持続する(保存性)
- ・ネット広告は(時間的に)緩やかに売上を底上げする
<店内販促との融合が重要>- ・広告に一定の販促効果があるのは明らかだが、広告だけで採算(費用対効果)を合わせることは難しい。売上増進には、プライシング、ポイント付与、キャンペーンの他、ディスプレイやPOPなどの店内販促と噛み合わせることが重要になる
調査は2019年2月から21年7月にかけて計3回、ホームセンターの「カインズ」やディスカウント店の「トライアル」、靴量販店「シューマート」の店頭で実施。高機能フライパン、肌着のPB商品、靴のインソール(中敷き)を対象に、チラシで商品をPRする店舗やネット広告を打つ店舗、両者を併用する店舗など4つのグループに分けて販促を行い(図1)、それぞれの売上を比較した。シューマートの調査は信濃毎日新聞社と共同で行った。
【図1】広告効果測定調査での4つのグループ分け
その結果、チラシ単体による売上の伸び率は前週比で42~132%増となり、いずれの調査でもネット広告より高くなった。さらに、チラシとネット広告を併用した場合は最大3.5倍と、売上をさらに伸ばす余地のあることが分かった。
【図2】広告効果測定調査の概要と結果
また、チラシは投下直後に効果がピークに達し、2週間程度は効果が持続するのに対し、ネット広告は緩やかに売上を底上げする傾向がみられ、効果の表れ方に違いがあることも確認された。
今回取り扱った商品は、5000円台のインソールや機能性を重視したフライパンなど、決して安さを前面に打ち出したものばかりではない。それでも折込チラシによる売上アップ効果が認められたことで、チラシが得意とする特売やセールの訴求だけでなく、高付加価値商品でも十分に購入行動を促すことができることが立証されたといえる。消費者は習慣的に身近な小売業の折込チラシに目を通しており、商品の特性や利点が明確に伝わる訴求内容であれば、紙メディアに優位性があることを示している。
一方で、広告に一定の販促効果があるのは明らかなものの、単に広告だけで採算を合わせることは難しい。実際の販促にあたっては、価格設定やポイント付与、キャンペーンといった施策のほか、ディスプレイやPOPなどの店内販促と組み合わせることによって、売上増につなげることが求められそうだ。
調査を設計・監修したコンサルタントの田中義啓氏は「小売業ではネット広告にシフトする動きも多いなか、折り込みチラシの役割が揺るがないことが改めて確認された。ネット広告との併用による相乗効果が極めて大きいことにも着目すべきだ。メディアミックスで効果を最大化する道を探ってほしい」と話している。
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