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折込チラシに新手法、新たな顧客・需要を開拓
新聞8ページ分の「パノラマチラシ」を活用
~三陸鉄道開業40周年に伴う物販事業に関する広告効果測定調査2024~
リテールアド・コンソーシアムは2024年4月、三陸鉄道株式会社(本社:岩手県宮古市)の協力のもと、新聞8ページに相当するパノラマチラシ(上=表面、右=裏面)を新聞に折り込み、三陸地方の特産品等の販売効果を検証する調査を実施しました。折込チラシに新手法を採用した結果、新たな顧客や需要を開拓することができ、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー=LTV)を含めると一定の広告の費用対効果(ROAS)も得られた。
チラシの大きさとクリエイティブがSNSで話題となるPR効果に加え、購入者アンケートから顧客とのエンゲージメントを醸成できるといった効果も実証できた。
調査は、三陸鉄道の開業40周年記念式典にあわせ4月13日、東京都23区の指定エリアの読売新聞購読者にパノラマチラシを折り込んだほか、読売新聞のオンラインサービス登録者に広告メールを配信し、4月30日まで行った。
パノラマチラシの配布は10万部。三陸鉄道ECサイト「さんてつ屋」のアクセス解析に基づき世代や世帯年収からターゲットを設定し、読売新聞販売店単位で配布先を割り振った。
実店舗への集客力を測定するため、岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」(東京・中央区)をチラシで紹介、店舗で一定金額以上購入すると、プレゼントがもらえるクーポンも用意した。
■広告効果測定調査結果
【定量評価】
▽プロモーション
各経路の流入数・購入数
- チラシ配布数に対するECサイト流入数は183件(0.18%)、メール配信数に対する流入件数は2,887件(0.69%)と、それぞれ一般的な反響率を上回った。
- パノラマチラシのみで告知した1人5万円の「運転体験イベント」は6組9人が購入。
- 「いわて銀河プラザ」のクーポン利用の購入者は7人となり、2万1000円以上の商品購入に寄与。
- ほとんどがEC経由での購入となり、新聞購読層のITリテラシーの高さが見られた。
▽購入数・単価
株式会社オプトが開発したアンケートソリューション「ONE’s Data View」(商標出願中)を活用して行った購入者アンケートによると、パノラマチラシを見たことがある人(「はい」と回答したユーザー。チラシ閲覧者)は、「いいえ」と回答したユーザーに比べ、平均購入数量、単価とも6%高い結果に。
▽店舗
調査期間中の「いわて銀河プラザ」の入場者数、購入者数、推定購入金額の対前年比は、すべてプラスに。
▽体験イベント
三陸鉄道の既存資源を生かし、特別感を持てる商品として運転体験イベントを企画。パノラマチラシのみの告知にもかかわらず想定以上の申し込みにつながり、折込チラシの信頼度、パノラマチラシのインパクトなどが大きく貢献。
購入者は、参加費のほか、現地までの往復交通費、宿泊費、飲食費などで1人6万円~8万円程度を出費。地域に一定の経済波及効果。
▽顧客生涯価値(LTV)
今回獲得した新規顧客の数を「1」とし、次回以降のセールで一定の離脱率があるとして試算すると、今後5年間、10回のセールを実施した場合のLTVは初期売上45万168円の3・17倍=142万7032円に。
▽広告による売上、費用対効果
今回のパノラマチラシを活用した広告による売上貢献金額(表の⑧)は計237万4032円。広告媒体費131万円(表の⑨)で除したROAS(表の⑩)は181・22%に。
【定性評価】
▽商品購入者コメント
購入者アンケートでフリーコメントに回答した人は全体の47%に。パノラマチラシが既存商圏外からも「応援したい気持ち」や共感を引き出し、エンゲージメントの醸成に寄与。
▽SNSの反応
「Ⅹ」などのSNSでは、読売新聞の購読者のほか、三陸鉄道の各駅、沿線自治体の施設でチラシを手にした一般ユーザーからもパノラマチラシの大きさや迫力を訴える投稿が多数。
▽活用事例、関係者コメント
「いわて銀河プラザ」のほか、東京都、埼玉県、岩手県など20か所以上で、“多様なプロモーション効果を発揮できる媒体”として配布、ポスターとして掲示、商品カタログや観光案内として活用。
三陸鉄道記念式典でパノラマチラシを受け取った旅行会社「クラブツーリズム株式会社」は、広告手法の斬新さ、チラシの希少性と保存性、地方創生事業の情報発信ツールとしての活用について、高い評価。
―――これらの調査結果を通じ、パノラマサイズという自由度の高い折込チラシを使った統合型マーケティングについて次のようなファインディングスがあった。―――
- <遠隔地の新規顧客獲得による中長期的な売上増に貢献>
- ・調査期間中の売上は264万9050円で、このうち、折込チラシに掲載されたQRコードを介しての直接売上が45万168円に達した。さらに、ECサイトで商品を購入した東京23区在住の顧客は全員が新規顧客であり、中長期的な売上増が期待される結果となった。
- ・本事業のROASは181・22%に達し、広告費を上回る効果があった。特にECサイトでのリピート購入が見込まれ、今後も安定した売上増加が期待できる。
<リアル店舗への集客力でも効果を発揮>- ・岩手県アンテナショップ「いわて銀河プラザ」(東京・中央区)でチラシを持参した顧客に特産品をプレゼントするキャンペーンを実施した結果、チラシ配布後の入場者数、購入者数、推定購入金額が前年同期比で増加した。4月13日のチラシ配布日前と比較しても全ての数値が上回り、集客増による売上増も実現できることが分かった。
<高価なイベント商品でも販売できる媒体信用度の高さを裏付け>- ・三陸鉄道は一般向けに初めて運転体験イベントを1人5万円で販売した。チラシによる告知のみ、インターネット上には詳細情報を提供しない形での販売にもかかわらず、6組9人が購入。この結果は、パノラマチラシの高い完成度や折込チラシの信頼性が消費者に浸透していることを示した。
- ・イベント参加者は、参加費以外にも交通費や宿泊費など追加で支出し、三陸地域に経済波及効果をもたらした。
<読んで楽しいチラシ」で能動的な視認を促し顧客関係性を強化>
・パノラマチラシを目にした顧客は、見ていない顧客に比べて平均購入単価が6%高く、購入数量も6%多くなった。特大サイズのパノラマチラシは視覚的なインパクトが強く、SNS上での拡散や顧客のエンゲージメント向上、ファンマーケティングに寄与した。チラシ配布後もイベントでのノベルティーとして再利用され、長期的なプロモーション効果を発揮した。
調査設計・監修:タウマーケティングコンサルタンツ 代表取締役/コンサルタント 田中義啓氏
「今回の調査は、さまざまな面で折込チラシの常識を覆しました。従来の折込チラシは、『定型的な紙面に、情報量をなるべく多く、地域商圏内に効率重視』で届ける傾向にありましたが、この調査企画では『インパクトのある紙面に、質の高い情報を厳選し、遠隔の大消費地に投下』することで効率化がもたらす利益以上のリターンを得ることを検証しました。結果としてこの折込チラシによる購入者のほぼ全員が新規顧客であり、今後一定の割合でリピート購入が見込まれることから、LTV(顧客生涯価値)を推計すれば、広告費用は十分回収されることも分かりました。また、インパクトある形態や広告表現、良質な情報が、広告の域を超えたファンマーケティングの役割を果たすことも確認されました。折込チラシは本来自由度が極めて高い広告媒体なので、この調査結果を参考に、さらに挑戦的な活用法が現れ、活用されることを期待したいです」
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株式会社読売新聞グループ本社社長室 リテールアド・コンソーシアム事務局 retailad@yomiuri.com