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SNSでつながるコミュニティ ~新聞販売店のFacebook活用例~

2020.12.25UP

「本日の朝刊で折込チラシの手配をさせて頂きました。」
読売センター(YC)小金井(東京・小金井市)のFacebookページにはしばしば、その日の折込チラシの画像とその紹介が投稿される。
チラシを入れた店主からは、
「チラシ片手にお越しくださったお客様が!ご近所さんに知っていただけるのが本当に嬉しい」といった反応が書き込まれることも。折込チラシがFacebookを通じて地域のコミュニケーションに活用されている様子が見て取れる。とかく大企業のブランディングやキャンペーンに活用されることの多いSNSだが、地域に密着する新聞販売店ならではの使い方を紹介する。

■折込チラシとSNSで広がる地域の輪

松井大平所長(52)がYC小金井のFacebookを始めたのは2013年から。会長を務めている地元「京王通り商店会」が、Facebookのアクセス解析やユーザーの分析を商店街の活性化に活用していた。新聞販売店でも同じようなことができないかと考え、地元ニュースの配信からスタート。翌年からは商店街のイベントや地元商店を紹介するページとしてリニューアルした。
PVを増やすため、もっぱら地元の住人が気になる“ハイパーローカル”な情報の発信を心がけている。地元の祭りや商店を応援するような企画・イベント、商店会や観光協会の話題を中心に、できるだけ2~3日に1度は発信するようにしている。
記事をシェアするときに前向きなコメントを欠かさないのもポイントだ。「とても良い取り組みですね」といった一言を添えると、共感や感謝のコメントが返ってくることが少なくない。松井所長は「市民活動が活発な地域という特性もあり、情報を発信すればするほど、受け取ることができる情報も多くなる」と実感している。

こうした地元のつながりは、ビジネスの輪を広げている。
健康シューズを製造、販売する「えこる国分寺店」の店主・土田凡枝さん(47)は、店の宣伝に折込チラシを使いたいと考えていたが、方法がわからずに困っていたところ、知り合いから松井所長を紹介された。相談を受けた松井所長はすぐさま土田さんのお店を訪問し、折込を行うエリアや曜日、複数回の実施などをきめ細かく提案し、5月から6月にかけて折込実施に至った。
松井所長は地元商店の折込を入れる際、Facebookでその店の特徴や折込実施に至るまでのエピソードなどを紹介する。閲覧者からの「いいね」とともに、えこる国分寺店のアカウントからはこんなコメントが書き込まれた。
「この度はお世話になりました!早速、本日折り込みをご覧になったお客様がいらっしゃいました!やっぱり、地元をよくわかっている方にご相談してよかったです!また次回、よろしくお願いします!」
このやりとりを見たフォロワーの「欲しいな」のコメントからさらにやり取りが生じるなど、SNSならではの輪も広がり、店の売上は前年同月比で倍以上を記録したという。

<地域の折り込みチラシは、地域を良く知る当店へ♪>

この度「 えこる国分寺店…

読売センター小金井さんの投稿 2020年6月5日金曜日

「えこる国分寺店」の折込チラシ実施を伝えるYC小金井のFacebook

 
■情報発信基地としての新たな取り組み

いま、松井所長が力を注いでいるのは、新しい“地産地消”の取り組みだ。ドイツで、ネットで注文された地元商店の商品を地元の人が自転車で届ける仕組みがあることを知り、これを小金井でも取り入れたいと考えた。今年9月から、「よみむすび」の名でサービスを始めた。
第一弾は、街のお花屋さんが選んだ季節のオリジナルブーケを月に2回、YCが届ける「花の定期便」。ネットを使った新しいサービスに対する安心感を高めるため、長年の読者を意識して折込チラシも実施したところ、興味を示してくれる人も多いという。申し込んだ人からは「どんな花が届くか毎回楽しみ」と好評で、生花店にしても、定期的な売り上げが見込める。

「よみむすび」のパンフレット。YC小金井と地域のつながりを感じさせる内容になっている

「よみむすび」は、FacebookのほかにInstagramでも情報発信しており、松井所長自身、SNSが華麗な花の写真で彩られていくのを楽しんでいる。写真の数と共にフォロワー数も着実に増え、人と人とのつながりがますます大きくなっている。

「よみむすび」のInstagram。実際に届けた鮮やかな花の写真がアップされていく