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ネット注文・店舗受け取り広がる 顧客の利便性向上へ小売り各社

2020.07.20UP

ホームセンターや家電量販店などの小売業界で、ネットで注文した商品を店舗で受け取れるサービスが広がっている。新聞の折込チラシで利用を呼びかける店舗もあり、顧客の利便性を高めるとともに、「ついで買い」につなげる狙いもありそうだ。

コーナンはネット注文・店舗受け取りをアピールする

コーナンはネット注文・店舗受け取りをアピールするホームセンターを展開するコーナン商事は折込チラシで、ネットで注文した商品の店舗受け取りサービスを随時掲載している。送料がかからないほか、店舗で購入する場合と比べて会計が5%引きになるキャンペーンも期間限定で実施しており、チラシにQRコードを添付して利用を促している。

日用品やアウトドア用品など、幅広い商品が対象。利用件数も年々増えており、受け取りに来る際に店内で別の商品を手に取って購入する客も少なくないという。コーナン広報は「あらかじめ注文しておくことで来店時に在庫切れの心配なく購入できるなど、お客様にメリットがある」と説明する。

家電量販店大手のヨドバシカメラも、「ネットで注文・店舗で受け取り」サービスを早くから導入した企業の一つだ。ネットと自社店舗の販売価格が異なる場合は安い方の価格が適用される仕組み。自宅に不在がちで宅配便をなかなか受け取れない人にも、店舗の取り置きサービスは都合の良い時間帯に受け取れるので便利とアピールしている。

一方、コンビニ大手各社は、アマゾンなどのECサイトで消費者が購入した商品の受け取りサービスを展開している。自宅や勤務先に近い店舗で24時間、好きなときに受け取れる点を売りにしている。

 

■顧客データを活用

最近は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、店内での滞在時間を極力短くするよう呼びかける小売店も多い。ネットを使った事前注文方式をうまく使えば、買い物時間を短縮する効果も期待できる。

一方で、ネットやスマホを介して購入を促す仕組みは、オンライン決済や会員IDの登録が必要となる。店にとってはこうして集まった顧客データをマーケティングに活用することができ、売れ筋商品の分析やキャンペーンを打つ際などの有用な資産となる。

流通業界に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は「国内のEC比率はまだ8%程度だが、アフターコロナの今後、加速度的に伸びる可能性がある」と指摘する。ネットと実店舗を組み合わせたサービスをいかに提供していけるかが、小売業の課題と言える。