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「先払い」で飲食店支援 サントリー、折込でアピール ネット活用も

2020.07.01UP

新型コロナウイルスの影響で苦境にある飲食店を支援しようと、常連客らが「先払い」方式でお店をサポートできる枠組みが相次いで生まれている。

飲食店を支援する「さきめしプロジェクト」のチラシ

サントリーホールディングスは、「さきめしプロジェクト」と題した飲食店支援の取り組みを始め、5月下旬、読売新聞の折込チラシでPRした。「行きつけのお店を、先払いで応援しよう」と呼びかけ、QRコードを付けて参加を促す内容だ。

同プロジェクトは、消費者がネット上で好きな飲食店のチケットを購入し、コロナの収束後に食券として利用できるようにすることで、対象の店舗に必要なお金が届く仕組み。新型コロナの影響で来店客が激減した店舗にとって、当座の資金繰りを支えることにつながる。

サントリーは今回、「さきめし」の利用時にかかる決済手数料を自社で負担するとともに、登録したすべての飲食店に寄付を行うなど、総額1億円を拠出した。広報担当者は「飲食業の経営者を応援し、日本が世界に誇る食文化を守っていきたい」と話す。飲料やビールなど、自社商品の取引先でもある飲食店網を支えることで、サントリー側にもメリットがある。

 

■ネットで資金募る

一方、インターネットを通じて小口の資金を募る「クラウドファンディング」を活用し、地域の飲食店を支援する取り組みも活発だ。

千葉県市川市のJR本八幡駅近くでカフェダイニング「ヤジッコキッチン」を経営する矢路川結子さん(38)は、地元の飲食店経営者らと連携し、「#カンパイ市川」と題してクラウドファンディングによる支援を呼びかけた。3000円、5000円、1万円など複数の食事券を用意して寄付を募った結果、目標の300万円を大きく上回る500万円超の資金が集まった。

矢路川さんは「取り組みを通じて店舗同士の仲間意識が強まり、市全体として『一つのチームでやろう』という形になった。支援が広がり本当にありがたい」と話す。

クラウドファンディングで支援を呼びかけた矢路川さん(千葉県市川市で)

こうした「先払い」方式の支援の輪は各地で生まれており、地域の飲食業を支えている。新たな枠組みとして注目されそうだ。