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【データで見る折込トレンド㊤】コロナ禍で「生活応援」伸びる~チラシレポートの調査から

2020.10.26UP

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、スーパーなどの折込チラシの企画内容に変化が生じ、「生活応援」をキーワードにした企画が多くなっている――。そんな傾向が、全国の折込チラシ情報を収集・分析している「チラシレポート」(東京都中央区)の調査で分かった。

折込チラシの情報をデータ化し、メーカーや小売・卸業者、販促会社向けに外販している同社は、全国に約1100人のモニターネットワークを持ち、スーパーやドラッグストア、ホームセンターなど約1000チェーン、約3万9000店舗分のチラシ情報を集めている。これらのデータから見えてくる最新の折込広告のトレンドについて、同社事業推進部の泉順也氏に聞いた。

■4、5月はチラシ急減

――コロナ禍によって、折込チラシの配布枚数が一時大きく減った印象があります。実際のデータ上はどうでしたか。

チラシレポートは全国約1100人のモニターから毎週1万~1万5000枚のチラシを収集しています。総合スーパー(GMS)・食品スーパーの場合、チラシを発行した累計の店舗数(発行のべ店舗数)は、今年1~3月は前年同月とほぼ同じでしたが、4月は59%、5月は31%にまで落ち込みました。

コロナの問題が本格的に騒がれ始めたのが4月頃からで、集客手段としてのチラシ配布を自粛する動きが広がったとみられます。

ただ、「生活の情報源として、やはりチラシは必要」という消費者、エンドユーザーの方も根強くいらっしゃいます。スーパーのチラシ発行のべ店舗数も徐々に持ち直し、6月は前年同月比で73%、7月は85%まで回復しました。

――チェーンによっては、折込チラシのサイズを従来より縮小する動きもあったようです。業種によってチラシの配布動向にばらつきはありましたか。

チラシの集計は、①GMS・食品スーパー②ホームセンター③ドラッグストア④酒販店――の4業態に分類して行っています。業種別にみると、GMS・食品スーパーの折込チラシは前述の通りでしたが、ドラッグストアやホームセンターではさらに配布量が大きく減りました。

ホームセンターでは、いわゆる「巣ごもり」需要の高まりによる日用品の販売増、ドラッグストアでは、コロナ禍でマスクや衛生用品の需要が急速に増えました。こうしたチェーンでは、あえて折込による集客に頼らずとも売上を確保できた面があると考えられます。

■企画の内容に変化

――チラシに掲載される情報の内容については、何か変化はありましたか。

4~6月頃に一番目立ったのが「生活応援セール」という文言です。チラシで届ける情報は基本的に特売商品が中心ですが、「特売」で集客するのではなく、あくまでコロナ禍の「生活応援」という四字熟語に結びつけたチェーンが多かった。

コロナの影響を受け、スーパーなどの折込チラシには「応援」の文字が数多く踊った

これはデータ面からも高い伸び率によって裏付けられています。食品スーパー・GMS(総合スーパー)100社のチラシ情報をまとめた「チラシタイトル100」のデータ集計によると、2019年の3~7月に、「生活応援」(「家計応援」「暮らし応援」などを含む)と題した企画は全体の5.6%だったのに対し、2020年には12.9%と2倍以上に伸びました。チラシの企画内容の全体でも「生活応援」は1位となりました。

――ほかに目立った企画はありますか。

例年だと、春先からゴールデンウイークにかけて、「花見」や「運動会」をテーマとした企画のチラシが多くなりますが、今年はそうしたイベントごとがほぼすべて中止になりました。各社、企画づくりには苦心していたようですが、代わりに登場したのが「おうち」というキーワードです。

中でも最も伸びたのが「家飲み・居酒屋」。ビールやワインなどの酒類商品に、つまみに適した総菜などを紹介する内容です。3~7月の5か月間で、「家飲み・居酒屋」のシェアは前年はわずか1.0%でしたが、今年は3.9%まで上がっています。「おうちでバーベキュー」のような企画も目立ちました。

■「産地応援」に期待

――コロナ禍に伴う「新たな生活様式」が叫ばれる中で、今後のチラシの動向にはどんな変化がありそうですか。

以前に比べて外出や旅行が気軽にできない状況が続けば、「産地応援」という企画が増える可能性が高いと思います。地方に出かけられない消費者と、需要が縮小する地方の生産者を結びつける企画として注目されるからです。

実際、お盆の期間中に東京・銀座のアンテナショップがにぎわったというニュースもありました。百貨店の催事のような「北海道フェア」「九州フェア」のような大がかりなものでなくても、コンパクトな規模の「全国うまいもの祭り」といった企画が今後、スーパーなどで増えていくのではないでしょうか。

――気分だけでも「お出かけ気分」を味わおう、ということですね。

そうですね。スーパーにとっては、特売のお値打ち商品をチラシに並べる一方、お客様の財布のひもが緩むような「企画」を打ち出し、ちょっといいものも提案する、というのがチラシの流れになっています。

地域色を帯びた企画で買い物の楽しみを提案すると同時に、利益率の高い総菜などの売上確保を図る動きが今後、広がるとみています。

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