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住宅市場に変化の兆し テレワーク拡大で「広さ」重視も

2020.08.18UP

新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が増えたことに伴い、住宅市場にも変化の兆しが出ている。大手住宅メーカーでは在宅ワークに対応した商品をアピールするなど、逆境を商機に変えようとする動きが目立っている。

大和ハウスが提案する「快適ワークプレイス」

「ヘーベルハウス」ブランドで戸建て住宅を販売する旭化成ホームズは、働き方のスタイルに応じて3種類の在宅ワークスペースを取り入れた住宅の提案を始めた。仕事とプライベートの空間をきっちり分ける「プライベートスタイル」、リビングやダイニングと緩やかに仕切る「セミオープンスタイル」、リビングの一角で仕事に向かう「オープンスタイル」を用意。新聞広告などでPRしており、4~7月の資料請求件数は前年同期比で5割増となるなど好調だという。

同社は「急速に増えつつある在宅ワークに対応し、集中できる環境やWeb会議のしやすい静かな環境を求める人が増えている。これまでも在宅ワークスペースの提案は行ってきたが、コロナ禍を機に改めて利用目的に合わせた3タイプに分類し、提案を強化している」と話す。

大和ハウス工業も6月から、ニューノーマル時代を見据えた住まいとして、快適に在宅勤務ができる「快適ワークプレイス」の提案を始めた。自社開発の防音室の技術を活用し、防音ドアや2重窓を採用。周囲の音が気にならずに仕事ができるほか、安定した通信が可能なWi-Fiアクセスポイント(コンセント埋め込み型)も設置する。

Webサイトを通じて販売する戸建て住宅商品の閲覧数も増えているといい、担当者は「顧客のライフスタイルの変化に合わせて、住まいの提案を発展させていきたい」と話す。

 

■「部屋数多く」4割

各社がこうした提案を強化する背景には、テレワークの広がりに加え、学校の休校・授業のオンライン化などで家族の在宅時間が長くなり、ファミリー層を中心に住宅に求める要素に変化が生じていることがある。

リクルート住まいカンパニーが新型コロナ禍を受けて実施した意識調査(4月17~20日)によると、今後住み替えたい住宅への希望では、「今より部屋数の多い家」との回答が40%でトップだった。「今よりリビングを広くし、個室数(狭くても良い)も確保したい」との回答も目立ったという。

担当者は「特に賃貸住宅で住まいへの不満が顕在化した。会議や作業に集中するためのスペースがほしいとのニーズも高まっている」と分析する。同社が運営する住宅情報サイト「SUUMO」の閲覧件数もこのところ伸びており、住み替えを検討する動きが活発化しているという。

緊急事態宣言後に落ち込んでいた不動産分野の広告出稿も持ち直しつつある。日本新聞折込広告業協会(J-NOA)によると、6月のジャンル別の折込枚数で「不動産」は19.1枚(1世帯平均)と前年同月の8割にまで回復。中でも「住宅展示場・企画住宅」は6.7%増と前年を上回った。

住宅ローン金利は依然として低水準が続いており、住宅業界では6月に販売を伸ばした企業もある。顧客のニーズを的確にとらえ、対応したサービスをいかに打ち出せるかが、不動産分野においても問われているようだ。