リテールアド・コンソーシアムFORUM
「ニューノーマル時代のリテール販促戦略」
動画アーカイブ①

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①「小売業における広告効果測定調査」からの提言
 折込チラシ、ネット広告のリアルな実力を可視化する
 

田中 義啓氏
タウ マーケティング コンサルタンツ株式会社
代表取締役/コンサルタント
米国Razorfishの日本法人代表、フロンテッジ執行役員、サイエント代表取締役社長を経て、2010年タウ マーケティング コンサルタンツを設立。一貫して企業の成長戦略の立案支援、デジタルトランスフォーメーション支援、新製品/新サービス開発支援に従事。顧客企業・団体はGMS、専門チェーンなどの小売業、自動車、家電、食品、化粧品、アパレルなどの製造業、公益法人と多岐にわたる。著書に「ポスト3.11のマーケティング」(朝日新聞出版)等。




【講演当日に寄せられた質問と回答】


Q.折込広告による販促が、小売業の施策にとって、現状大きな負担と捉えられている一番の原因は何でしょうか。
A.小売業で注力商品を売るには、広告、店内施策、価格/インセンティブの諸要素が噛み合う必要があります。その広告もデジタル、折込チラシ、交通広告など様々なメニューに細分化されます。折込チラシだけでモノが売れるわけではないし、生活者は折込チラシだけを頼りにしているわけでもありません。小売企業は折込チラシを打ちたいのではなく売上を取るのがゴールです。生活者は折込を見たいのではなく信頼できる情報が欲しいのです。小売企業のゴールにどれだけコミットできるのかが明確に示されないと、折込チラシが再び店舗販促の中核に置かれることは難しいと思います。


Q.トライアルカンパニーさん、カインズさん共に単一商品に絞って広告効果測定をされていますが、小売店が通常出稿されている多品目掲載チラシの広告効果測定は難しいのでしょうか。
Q.今回のテストで実施した広告のように、流通店舗で単一商品の折込を実施することはほぼない。通常のチラシだと効果がどう変わると考えられるのかを知りたい。
A.モノが売れるのは、広告や店舗販促、価格戦略などの組み合わせです。広告の貢献度を測るにはそれ以外の要素に影響されないようにしなければなりません。仮に多品目掲載(通常はセール価格訴求だと思います)の形式を取るのであれば、例えば折込チラシを配布する店舗と配布しない店舗の2店舗(同規模、同立地条件)で実験するとして、広告対象商品は両店舗とも同じラインナップとし、同じセール価格、さらに店内販促も同等に行うこととすれば、広告媒体の素の実力は測れると思います。実際に日々のビジネスが流れる中でこうした条件を満たす環境を作るのは大変ですが、実行する価値はあるかもしれません。


Q.新聞購読者が年々少なくなっていく中で、今後折込チラシをどう変化させていくのか?(エリア広告に穴があかないように…)お聞きしたいです。
A.新聞購読者は減少したとしても、それに応じて一定以上の所得層やトレンドセッターに確実に到達するセレクトメディアの性格が強くなるものと思います。こうした新聞読者層の変化に合わせて折込チラシ自体の商品開発、他メディアとの連携を含めたサービス開発が進むことが期待されます。


Q.効果測定調査を福岡県で実施した理由は何か意図はありますか?
A.本調査は第1回目は首都圏のカインズ社で行っており、今回福岡で実施したように、今後も様々な条件下で継続実施して行きたいと考えております。ただしご協力いただく小売企業様にかかる負荷も決して軽くはないので、現実は当方の都合で先に地域を決めるというより、まずはご協力いただける小売企業様を選定させて頂き、地域はその企業様の営業エリアに応じて設定するという順序にせざるを得ません。


Q.広告のKPIについて、売上、粗利に対する貢献度というのは、具体的に例えばどのような指標がありますでしょうか?
A.売上への貢献度を示すものとしてはROAS、粗利に対するものはROIが代表的です。ROAS=売上/広告費、ROI=(売上ー広告費)/広告費、で求めます。ROIについては製造原価などその他の経費も広告の中に算入する場合もあります。


Q.広告の売上、粗利に対する貢献度とは、具体的にどのようなものを指標におくべきでしょうか?
A.まずはROAS(売上/広告費)で見て、さらにROI(<売上ー広告費>/広告費)を測るのが良いと思います。ROIで見られるようになると広告と同様に値引きや店舗販促も同じ指標で見られるようになるので、販促に係る施策を横並びで比較できるようになります。


Q.①折込チラシ=即効性 ②ウェブ広告=じっくり、という特徴の違いが顕著に見えているように見受けました。 これらを併用すると、ターゲットのカバレッジを高めるだけでなく、リマインド効果で購入促進効果が見られたというとでしょうか。
A.今回の調査では、そこまで相乗効果を断言することはできません。物理的には相当数が両方のメディアに接触しているのですが、「認知」で見ると重複はかなり小さく、折込派とスマホ派に分かれているようです。現時点では重複認知による相乗効果というより、認知自体を二つのメディアを利用して広げたというのが現実的な見方です。ただし、今後スマホへの依存度がさらに高くなると、重複による購入意欲増の効果も大きくなる可能性は高くなるとみられます。


Q.全体的に売上アップに貢献する内容でしたが、失敗談や無駄に経費が掛かってしまった分などの実経験を教えて欲しいと思います。
A.広告や販促施策において費用対効果の面での「失敗」は枚挙にいとまがありません。それはどんなに洗練された広告施策を実施している企業も同じです。要は「失敗」が生じた場合に冷静な敗因分析をして次に持ち越さないことと、その時点でその日以降の予算計画、実施計画を見直して年度業績へのインパクトを軽減することです。「失敗」から学ぶことなく粛々と予算消化が進み、年度末になって「失敗」の積み重ねが取り返せない事態に陥るのは良くある話です。